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夏目漱石 「こころ」

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先生が言った以下の言葉が一番印象に残った。
「悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずがありませんよ。平生はみんな善人なんです。少なくともみんな普通の人間なんです。それが、いざという間際に、急に悪人に変るんだから恐ろしいのです。だから油断ができないんです」
夏目 漱石. こころ (p.76). 青空文庫. Kindle 版.
叔父さんに裏切られた先生の思い、そして先生自身が友人Kを裏切ったこと。
その時の思いが、この言葉に表されているのではないか。

これは自分の今までの人生を振り返っても、あの時あんな目に遭わされたが、平時はそんな悪い人ではなかったと思う。そんな気付きを得た作品。